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October 21, 2014

和歌山・味のある建物案内・その3

ふらりと和歌山県最西端の地を訪れてみた。日の岬である。ここは国民宿舎があり、その一帯が「日の岬パーク」になっているらしい。最南端の潮岬は何度となく訪れている。最西端の日の岬はどんなもんだろうか。

ぐるぐると岬の道を上ってゆく。見晴らしはいいけれどRのきついコーナーが続くので、まるでF1モナコGPの気分だ。スピードは10分の1程度だけれど。坂を登ると駐車場があった。駐車場にカブを置く。背後にピンク色の建物があった。

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カラオケルームだった建物だった。うち捨てられた什器がもの悲しい。

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「乾きを癒やし、弱気を挫く」ドリンクコーナーだったのだ。それも今は昔。挫けてしまったのだろうか。右手の建物を目指して登ってゆく。アメリカ村資料館があった。

日の岬の手前には、アメリカやカナダに移住した人たちが日本に戻ってきて定住した人たちが暮らす地域がある。その名もアメリカ村という名前で、同名のバス停もあり、北米風の平屋のシンプルでモダンな家が今も残っている。ちなみにこのアメリカ村資料館の一部はカナダ資料館でもあった。

この資料館では、「王貞治&ハンク・アーロン展」が開催されていた。

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しかし、日曜日だというのに全く人の気配がない。先っぽに惹かれてやってくるのは間抜けなライダー約一名のみということか。資料館の中には展望台やレストランの表示はあるが、扉が閉まっており、明かりも点いていなかった。

資料館の外にはこんなものがあった。

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「ケープトレイン」という遊園地の乗り物のようなものだ。モノレールだったようで、半径200メートルほどの弧を描くように、その資料館の周りを小さなレールの軌道が残っている。一回300円。残念ながら車体は残っていなかった。

岬の高い部分で見晴らしの良い場所なので、昔は賑わっていたのかもしれない。しかし、今は…。くどいようだが、人の気配がないのだ。私は人の気配を求めて、国民宿舎に足を踏み入れてみた。

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「日の岬シティーホテル 日の岬国民宿舎」と書かれている。「日の岬」の書体がレトロでいい。入り口の張り紙には日帰り入浴が500円と書いてある。一風呂浴びて行こうか。

しかし、フロントもロビーも誰もいない。薄暗いお土産屋さんをちらりと覗いて、カウンターのベルをチーン!と鳴らすと、のれんの向こうから従業員のお姉さんが出てきた。よかった人がいた。入浴したい旨を告げてお金を払うと、エレベーターで3階に上がって、廊下を突き当たりまで歩いて、もう一階分階段を上がって下さいとのことだった。ふむふむ。

ごぅん、と音を立てるエレベーターで上がり、昔の匂いがする廊下を歩く。部分的に赤い絨毯が敷いてあったり、案内の文字が明朝体で、紫のプラスチックの板でできた文字を、白い板に貼ってあったりして、全体に懐かしい。

脱衣場もこんな感じだった。

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一体いつの時代からそこにあるのかと思わせる自転車をこぐ健康器具。マッサージ椅子は機能していないようだ。天井の扇風機は力なく風を送っている。

浴室内はこんな感じだった。

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窓ガラスに水をかけるとくもりが取れ、眺望はよかった。ちなみに女湯からは朝日が、男湯からは夕日が見えるらしい。

500円で貸し切り展望風呂を満喫し、ロビーに戻る。しかし、やはり人はいない。館内も静かなので、もしや私しかいないのでは?と思ってしまった。カウンター越しに「ありがとうございました〜」を声をかけると、さっきのお姉さんが出てきて挨拶をしてくれた。

結局、そのお姉さんしかいなかったのかもしれない。こんなに人がいなくて大丈夫なんだろうか?と大きなお世話ながら心配してしまうのだった。

サイト「じゃらん」によると素泊まり4000円から、二食付きでも7000円くらいで泊まれるそうなので、レトロ好き、昭和好きの方々は是非泊まってほしい。街の喧騒を逃れ、雄大な海と空を満喫し、大浴場をほぼ独り占めできるのだ。消えゆく昭和のレジャーブームの面影を味わえる、こんな宿は貴重だと思う。


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October 20, 2014

和歌山・味のある建物案内・その2

しかし、いい天気だ。青い絵の具をべたっと塗ったような空に緑の木々。暑くもなく、寒くもなく、絶好の物見遊山日和だった。

「この奥」という電飾看板が脇道を指さしている。「どれどれ」とそちらに進む。

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脇道を進むと廃墟と化したドライブインが。窓は割れており、明らかに廃墟だ。しかし、傍らに停めたクルマの屋根に布団が干してある。古ぼけた布団ではなく、日常使われている新鮮な布団だ。

クルマか廃墟に人が住んでいるのだろう。私はすすすと立ち去った。

気を取り直して南へ進む。昔懐かしい感じのモダンな旅館があった。秋の空に静かにたたずんでいる。

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ここは廃墟ではないと思うけど、いまいち人の気配が感じられなかった。まあ、平日だし、観光地でもビジネス街でもないし、お客さんが極端に少ない可能性もある。

翌日も秋晴れだった。のんびりと青空の下を流す。ふと、道ばたのガソリンスタンドに立ち止まった。

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抜けるような青空と錆びたガソリンスタンド。ちょっとしたオブジェのようだった。とにかく静かで、信号が青になってしばらくすると、行き交うクルマの音さえ聞こえなくなる。

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灯油のスタンドが今にも緑に取り込まれそうだ。そして、事務所もしかり。

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屋根のガソリンのポンプが設えられた部分に錆が進んでいる。

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いつか、結構近いうちに崩れ落ちるのではないかと、ざわざわした。熟した果実がぽとりと落ちる寸前に出くわしたような気持ちになった。

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いつまでこのガソリンスタンドがここに残っているか分からないけれど、形があるうちに見ることができて良かったと思った。

さて、次はどこを見学しに行こうか。(その3へ続く)


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和歌山・味のある建物案内・その1

突然だけど、和歌山に住んでいる。

和歌山県は関西人にとってはミカン狩りや高野山、白浜へ海水浴などで割とイメージが湧きやすい場所ではあるけれど、正直関西以外の人にとっては、「どこ?」というレベルではないだろうか。そこで、和歌山県とはどういうところなのであろうか。数字を見てみた。

・人口は97万人
・面積の8割は山
・みかん、梅、はっさく、山椒、柿の生産量日本一

人口97万人というのは世田谷区(89万人)より少し多く、横浜市(371万人)と比べると1/4程度。県を区や市と比べるというのも変だけれど、まあそれだけ人口密度が低いことが分かる。

よって、色んなものが普及しておらず、JRでICカードが使えるのは和歌山駅くらいで、それより南はICカードが使えないばかりか、自動改札もなく、無人駅が多い。高速道路も途中から対面通行の一車線なので、そんなに高速で走れない仕様になっている。もとより、海沿いをぐるっと走るメインの国道42号線もほとんどの区間で対面通行一車線である。

そんな和歌山県だが、私のような趣味の人間には楽園のような場所だ。人が少ない、地元の食べ物が豊富で安くて美味しく、バイクで走り放題、古い建物観察し放題。秋晴れのある日、愛車スーパーカブ90でふらりと建物を見学に行ってきた。

さて、まず見に来たのは「オートスナック由良苑」だ。しかし、営業していない。俗に言う廃墟である。

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廃墟なのに扉が開いている。緑に取り込まれそうになっている入り口が、かぱっと口を開いている。深呼吸して中に入ってみた。

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ツタの葉がうどん・そば自販機に導く。

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ひっそりと息をひそめるうどん・そば自販機。残念ながら稼働当時の価格は確認出来なかった。

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隣にはカップコーヒーのベンディングマシーンと、お金を入れて扉を開く形式の自販機が。

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たばこの自販機は壁に埋め込んである。

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しかし、雑然としている。床にはゴミやほこりが散乱し、窓から差し込む陽光に揺れていた。

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この場所も賑わっていた時代があったのだろう。壁の注意書きが何とも言えない気持ちにさせる。

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トイレだけ使って、何も買って帰らない客に業を煮やしていたのだろう。しかしまあ、観光バス1台で3000円徴収はちょっと無理があるように思える。ここは本当にこの建物しかなく。あとは道路とトンネルと雑木林だけなのだ。

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うどん、寿司・弁当、ハンバーガー、コーヒー、ジュース、ビール・おつまみ。手書きの看板のそれらの文字に大らかな時代を感じる。昔はでたらめだったんだろうなぁ。

気をとりなおして国道42号線を進む。(その2へ続く)

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